2015.12.4 『学問のすすめ』の税のお話

gakumon

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」

こんな言葉から始まる福沢諭吉の『学問のすすめ』。
あまりにも有名な作品ですが、きちんと一冊まるまる読んだことがある、
という人は実は少ないのではないでしょうか?

『学問のすすめ』はタイトルの通り「我々は何故学ばなければならないのか?」
を説いた一冊ですが、その中で税についても触れられているのをご存知でしょうか。
そこにはこんな風に書かれています…

—政府は法令を設けて悪人を制し善人を保護す。これ即ち政府の商売なり。
この商売をなすには莫大の費なれども、政府には米もなく金もなきゆえ、
百姓町人より年貢運上を出して政府の勝手方を賄わんと、双方一致の上、相談を取極めたり。
これ即ち政府と人民との約束なり—-

つまり…

政府は人々の生活や安全と守るが、それを行うには多くの費用が必要になる。
政府自体にはそのお金はないので税金をみんなに負担してもらう。
これは政府と国民が交わした約束である。

と福沢諭吉は言っているのですね。

”税金は国民と国との約束である”
今では納めることが当たり前になりすぎている税金ですが、
「お互いの約束である」と表現されると、なるほど…と少し驚きにも似た感情が芽生えます。

しかし彼もこれを書いたときには、自分の肖像がお札になり、
「諭吉」などと呼ばれ一万円の代名詞として自分の名前が使われることになろうとは
夢にも思っていなかったでしょうね。

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因みに「学問のすすめ」は様々な訳で様々な出版社から出版されていますが、
著作権が切れているため青空文庫でも全文読むことができます。
この機会に全編読んでみてはいかがでしょうか。

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